「ぶなの四季」
作詞:佐野義也(エドワード佐野)
■ぶなの四季「春」 ■ぶなの四季「夏」
それは春の
ことでした。
根雪がぬくもり
鳥が舞う
森が輝く
そんな日でした
ぽつんと目の
でた緑葉が
空に向かって
唄ってた
ぶなの子供が
唄ってた
大きな手をした
父さんぶなも
二人一緒に
くちずさむ
「迷子に
ならずに
ここまでおいで」
「父さん追い抜き
空までいくよ」
それは夏の
ことでした。
まぶしいほどの
空の青
時々優しい風が
吹く
少し照れてる
恋人同士
川面に向かって
唄ってた
恋人同士で
唄ってた
ささくれ幹の
爺ちゃんぶなも
三人一緒に
口ずさむ
「迷子にならずに
ここまでおいで」
「爺ちゃん追い抜き
大きくなるよ」
それは秋のこと
でした
みんなが生まれる
前からずっと
黙って静かに
生きてきた
ブナの林の
村祭り
天に向かって
さけんでた
黙って静かに
さけんでた
雲の上には
見知らぬ人も
ほほえみながら
さけんでた
「迷子にならずに
ここまでおいで」
「天までいくよ
祭りの叫び」
それは冬のこと
でした
人や鳥や虫の声
なにも聞こえぬ
白い日に
村のはずれに
ただ一人
取り残されて
歌ってた
真っ赤な声で
歌ってた
樹氷の中に
あつき声
母さんブナが
泣きながら
「迷子にならず に
ここまでおいで 」
歌っていたけど
聞こえなかった
「ぶな、その光と影」 「ぶな、その生き物」